忍者ブログ
Saika
| Admin | Write | Comment |
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ONE PIECEリンク
同盟とか
リンクについて
サイト名:彩家 Saika

リンクはこちら⇒http://paraiba39.blog.shinobi.jp/
  
   リンクバナー


リンクフリーです。貼ったり剥がしたり斬ったり焼いたり蒸したりご自由に。
食べるのはお腹壊すとまずいんでやめたほうがいいかと。

バナー画像は
Studio Blue Moon さまより拝借
アクセス解析
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ちょっとR-18Gかかります。確実に。

後味悪いんで気をつけてください。
 

サンナバに始まり、スイック、リーディ、サティア、メルディ、アラン、ヴェイル、ジェイク、キウィー、ハリス、ウィンダ、そしてミシュカの順で、この街の子供たちは次々に殺されていった。
そして何故か、ロータリオだけは一度も狙われる事がなかった。
しかし大人たちは口をそろえてこういった。
「あなたもいつ狙われるのかわからないのだから、家から一歩も出てはいけないよ」
たった一人になってしまったロータリオは、毎日毎日一日中ぼうっと窓の外を眺めていた。
ミシュカが死んでから隣の窓を叩くこともなくなり、自分の部屋に飽きても閉じ込められたまま動くことができなかった。
ただ、一、二週間に一度、ティンが訪ねてきてくれた。それだけが今の彼を生かしていた。
「ねぇ、ロータリオくんて、私とあったときのこと、覚えてる?」
「え…?うーん…微妙かな…」
彼女と会ってから、もう5年以上が過ぎていた。彼女は立派な大人になり、自分もその階段を上っている。
「会ったとき…じゃなかったかもしれないけど、それくらいのときに、あなた、この街から出て行きたくないって言っていたの」
「あぁ、そうだっけ…」
ロータリオは、記憶をたどった。
そういえば昔のティンは、もっとかすれたような声で話していたような気がする、と、彼は思う。顔色も今よりもっと悪かったような気がした。
「あの時、確かティンは病気を治すためにここにきたって言ってたっけ…?」
「え?…えぇ…そうだったかしら?」
彼女はあいまいに、考えるようにして応える。
「そうだよ。で、その病気は治ったの?ここ数年…ってか…皆が死んじゃってから…元気になってきたみたいだったけど?」
「その言い方、なんだか引っかかるわねぇ…」
クスクスと肩を揺らしながら、彼女は笑った。
「でもそうなのよね…体の具合が良くなってきたのはあのころから…でもまだ…完全じゃないから…」
目を細めて、彼女はロータリオをしっかりと焦点の合った目で見つめる。
「俺さ…医者になろうかなって思うんだ」
見つめられて照れくさくなったのか、ロータリオは彼女から目をそらしてふと呟いた。
「ん?お医者様…?」
「うん。そのためにミサへ行く。ここにいたって何も変わらないし、できないから」
「そうね…毎日部屋のなかじゃねぇ…なんだか病院にいたころのことを思い出すわ…」
「そっか、ティンはここに来る前はずっと病院だったもんな」
彼女のほうを向いて、にこっと笑う彼の表情は、昔と殆ど変わってはいない。
「うん…、ほんっと、暇だった。毎日検査検査で。」
ロータリオが彼女の過去を聞くのは初めてだった。
今までなんとなく一緒に過ごしてきたが、彼女が自分の過去を話すことは無かったのである。
「でも、私その病院で毎日を楽しみに過ごすことができたのよ」
彼女の言葉に、ロータリオは首をかしげた。
「ただ一人だけ…毎日…とまでは行かなくても、私のところに来てくれた友達がいたのよ」
今まで見たことも無い彼女の目の輝きに、ロータリオは、あぁ、本当に彼女は嬉しかったんだなと悟る。
「で、その人は今どうしてるの?」
ロータリオが聞くと、彼女の目の輝きは失せ、寂しそうな声で呟いた。
「殺されちゃったの」
「そっか…ゴメン」
なんとなく、自分が悪いような気がして、ロータリオは謝った。
「別にロータリオくんが悪いわけじゃないよ。悪いのは私なんだから…」
窓を見上げて呟いた言葉に、彼が反応する。
「じゃあ、私はこのあたりで帰るね」
それはどういうことだと尋ねる前に、彼女はサッと立ち上がってしまったので、ロータリオは聞く機会をなくしてしまった。
「あ…あぁ…。わかった。送るよ。玄関までしかだめだけど」
彼は苦笑しながら言った。

 

塔へ戻ってきたティンは開口一番に祖父に言った。
「おじいちゃん、私ミサへ戻るわ!」
その言葉に、祖父は驚きを隠せない。
「ど…どうしたんだ?急に…」
「この体でももう十分に向こうで暮らしていけると思ったのよ」
今まで見たこと無いほどに嬉しそうに生き生きと話す彼女に、祖父は顔をしかめる。
「しかし…お前の体はまだ不十分じゃからなぁ…」
「それでもいいの!私決めたんだから!」
そういって、階段を勢いよく駆け上がっていく彼女を見送りながら、祖父は予定を早めなければと考え、地下室への階段を下りていった。
この部屋の存在は、孫であるティンも知らない。
その昔、人体収集を趣味としていた貴族が、集めたそれらを飾っていた部屋だ。
「おぉ…我が愛しのフィリアよ…」
話しかけた相手は今まだ顔だけの状態で、液体の入った大きな科学装置の中で浮き沈みを繰り返している。
「もうすぐだからな…もうすぐ…お前をわしのこの手で…」
分厚いガラスに手をつき、ふれられない愛しい顔をガラス越しから撫でると、彼は満足そうに微笑んだ。

PR
この記事にコメントする
NAME:
TITLE:
MAIL:
URL:
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS: 管理人のみ表示
≪ Back  │HOME│  Next ≫

[26] [25] [24] [23] [22] [21] [20] [19] [18] [17] [16]

Copyright c 彩家。。All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog / Template by カキゴオリ☆ / Material By はながら屋
忍者ブログ [PR]