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「うわ……しんじらんない……」
なりふりかまわずつっぷして、ぜいぜいと荒い息のカイトがいた。
「ちょっと、しっかりしてよ……」
抱き起こすと妙にご機嫌で、嘔吐物まみれの美形をゆがませて笑っている。
「おう、ただいま……子猫ちゃん……」
「子猫ちゃんじゃないよ……またお酒?」
「うん」
「なんでこんなになるまで飲むの?」
「……飲みたいから。理由なんてないさ」
あきれても放ってはおけない。
「お、また吐きそう……。ぐーっときた。ぐーっと」
カイトは楽しそうに吐いた。
本当に、心から吐くことを楽しんでいるようだった。
「最高……。セックスよりいいかも……」
指輪をはめたままの長いきれいな指を喉の奥につっこんで、胃液しか吐くものがなくなっても吐き続けた。
呼吸困難でうっとりしながら、トイレの床に爪を立てる。
「ねぇ……背中さすってよ……子猫ちゃん」
「え……ってか大丈夫?」
「大丈夫なわけないだろ……おえっ」
「もう、しょうがないなぁ……」
冷や汗で冷たくなっている背中。
その背中をさすりながら、ミクは少し怖くなった。
この荒廃ぶりは尋常ではない。荒んでいるのはこの部屋ではなく、部屋の主・カイト自身だ。
笑いながら、嘔吐し続け、快楽を得ているこの男の精神は、どこか壊れてしまっているのではないだろうか。
その証拠に、彼はかすれた声でささやいてきた。
「もっと上のほう、さすって」
「この辺?肩だけど?」
「もっと……上」
「って……首だよ?」
「そこでいい」
振り向いた肩越しに、あの優しそうな目で柔和に微笑んで。
「俺の首を絞めろ、ミク」
「……」
飢えた獣のように自分を見つめる、睫毛の長い、優しく綺麗な目が怖かった。
彼の要求にどんな意味があるのかわからなかったし、わかっても応えられるはずがなかった。
「……絞めちゃったら喉が詰まるよ?吐けなくなっちゃうよ?」
真に受けた振りをして、こたえるしかなかった。カイトは苦笑した。