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姉たちが買い物に言っている間、ショーウインドウの前で兄と二人きり、手を繋いで待っていた。
空を窺うと雪でも降りだしそうだった。
「寒っ……」
繋いでいないほうの手に息をかける。
それに気づいた兄が、繋いだままの手を、大胆に引き寄せて腰に手を添えた。
「お兄ちゃん」
「何?」
「ここ、外だよ?」
「うん」
「人がいっぱいいるんだけど……」
「うん。恥ずかしい?」
「うん……でも、あったかい」
兄の体温が優しい。
人の視線なんて関係ない。
周りに何があろうが、この人とならどこへでも行ける気がする。
ぎゅっと二人で寄り添って。
「お兄ちゃん」
「ん?」
背伸びをして、額と額がくっつきそうなほど顔を近づけて、兄のコートにしがみつくようにして。
触れるようなキスをした。次の瞬間、抱きしめていた兄の腕に力がこもり、つま先が地面に着くか着かないかというくらいに持ち上げられて。
深く、深くくちづけられる。
肺の中の空気が全部吸い取られてしまうのではないかとおもうくらい吸われて。
唐突に終わった。
「ごめん。とまらなくなった……」
はっと我に返ったのか、兄は少し顔を赤くして照れたように笑い、ミクも花が咲き誇るように微笑んだ。