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つないだ指先からは、ぬくもりが感じられた。
「お兄ちゃん!」
「どうしたの、ミク」
「マスターが遅いから迎えにいっておいでって」
ほしかったアイスクリームが近所のコンビニになくて、少し遠回りをして別のお店に寄った所為で予定外の時間を食っていた。
どうも心配をかけていたらしい。
「ごめんごめん。迎えに来てくれてありがとう」
長い髪を揺らして、目の前まで駆けてくる少女を見つめ、微笑む。
少女が来た道を、今度は二人で帰る。
「荷物重そう。半分もつよ?」
「ん?大丈夫だよ。ありがとう。ミクは優しいなぁ」
「そうかな……?」
「うん、とっても優しい」
「お兄ちゃん見たいにはなかなかなれそうもないけどね」
温厚な兄は怒ることがめったにない。
以前、何かの折に怒りが頂点に達したことがあったが、
『めっ』
と、おでこをツンとひとつきされて、終わってしまった。
温厚すぎる。
そんな兄が、ミクは大好きだった。
「お兄ちゃん」
「ん?」
「大好きだよ」
といって見ると、
「俺もだよ」
と、微笑んでくれる。
家までの距離はあともう少しだ。
ミクはそっと、空いている兄の右手を握ってみた。
「?」
兄は少し驚いたような顔をしたが、その手を優しく握り返してくれた。
つないだ指からは、ぬくもりが感じられた。