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Saika
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食べるのはお腹壊すとまずいんでやめたほうがいいかと。

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Studio Blue Moon さまより拝借
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ちょっとR-18Gかかります。多分。

後味悪いんで気をつけてください。


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「え?じゃああの先輩、藏之助の知り合いなんだ?」
櫻はココアを受け取りながら、相手を見上げた。
リビングにある椅子に座り、つかない足をぷらぷらさせる。
「去年のことだが、あいつに彼女の写真を見せろとせがまれた事があってな」
そういいながら尻ポケットに手を伸ばして財布を取り出す。
カードケースの中にはいつも彼女の写真が納まっていることを、櫻は知っていた。
「で、コレをみせたわけだ」
そういって数枚ある中の一枚を差し出した。
それは秋の祭りのときに彼と彼の彼女と三人でとった写真だったが。
「それで私の顔を知ってたわけ……ってなんでよりによってこれ……?」
櫻は脱力しそうになる。
頭につけたお面、両手いっぱいに抱えられた戦利品の数々。撮影したときはほくほくで、良い笑顔で写っていたのだが、今見るとあまりにも幼い。
「なんか私が欲張り見たいじゃん……」
「その時はちょうどそれしか持っていなくてな。写ってる金魚とかヨーヨーの数に驚いていた」
「あれは愼ちゃんが私に押し付けるだけ押し付けてっ!」
ぷぅっと頬を膨らます彼女に、彼はふっと笑みを浮かべる。
「でも半分はお前が取ったんだろう?」
「ポイがおかしかったんだって。なんであんなに破れないの」
「角度とスピードが命なんだよ、金魚すくいは」
あと、ヨーヨーは紙を濡らさないのがコツね、といってリビングに現れたのは長身の男だった。
「愼ちゃん!おかえりなさい」
椅子から降りて現れた男・愼之助に近寄る。
「あはは、今日は講義を休みにしたからずっと家にいたんだけどね」
苦笑しながら櫻のハグに応じる。
「あっ、ごめんなさい」
しおらしく謝る櫻に、藏之助はもう笑いを殺すのに必死だった。自分に接するときとあまりにも態度が違う。
「気にしないさ。いつも忙くて櫻にはなかなか会えないけど、元気そうだね」
指で髪を梳くと、くすぐったそうに櫻は笑った。
「ところで藏之助。母さんたち今日はデートだそうだから、そこらへん良しなに」
目元で笑ってそういうと、タバコを買ってくるよといって出て行く。その背中に、藏之助は了解と声を投げかけた。
「デートって……おばさんたち本当に仲良いねえ」
梳いてもらった髪を口元に持ってきて嬉しそうにくすくすと笑う櫻に、藏之助は鼻を鳴らした




見せたいものがあるから、またうちに遊びに来いよと笑った友人が、旅立っていった。
享年28歳。あまりにも早すぎる死。
彼の両親も早くに事故で逝ってしまったから、今頃は家族でのんびりまったりお茶でもすすっているのでは、と寿利は思う。
学生時代の友人ばかりがあつまった、喪主のいない通夜が終わり、遺体の前に線香を炊き続けながら遺品の整理をしていた。
整理といっても部屋の中はアンプやマイク、ミキサーなどの機材ばかりで、片付けるものはもっぱら楽譜などの紙類だけだった。
海外に移り住んだ奴がいたり、結婚した奴がいたりと、こんなことがない限りそろわないメンバーだ。片付けながらもつもりつもった話が花を咲かせる。
「しかしあいつ、マジですげぇなぁ。みろよ、この譜面の数」
「あの紅音にも楽曲提供してたんだろ?音大生の目標だよな」
「おぉ、学生時代のアルバムがあるぞ」
「いいもんみっけたじゃーん、みんなでみよーぜ!」
「おい、お前ら遊んでねぇでちゃんと片付けてやれよー」
満面の笑みで、とは言いがたいが皆の口調はそこそこ明るかった。
そこへ、参列者のために開け放たれた扉から
「お邪魔いたします」
と一人の男性がやってきた。彼は自らを弁護士だと名乗った。
線香に火を灯し遺体に手を合わせてから彼らに向き直る。
「私は弁護士として故人・雲梯響悟さんから遺言執行者に指名されています。このような場合に開封するように言われていますのでただいまより遺言を発表します」
彼らも片付けの手をとめて座り、その言葉を聞き入る。
急に見知らぬ第三者が、しかも遺言をもって入り込んできたことで、現実から目をそむけることのできなくなった彼らは、糸が切れた人形のようにうなだれていた。
「皆様個人に宛てて、手紙を預かっています。それが雲梯さんからのご依頼です」
まるで機械が話しているような、抑揚のない声だった。
名前を呼ばれ、それぞれが手紙を受け取る。名前を呼ばれなかったものはいない。まるで初めからこのメンバーが集まることを知っていたかのようだった。
それから二、三注意事項を述べて、弁護士は一礼して帰っていった。
何かの儀式のうちのひとつであるかのようだった。
「なぁ……とりあえずあけてみようぜ」
「そうだな……」
誰ともなしに言って、呆然としたままそれぞれ手紙を読み始めた。
渡された封書は、少し色あせていていつ用意されたのかわからないもの。
【万年青 寿利 様】
几帳面な字で書かれた自分の名前は、確かに響悟の筆跡だ。
高鳴る心臓を押さえるため一息ついてから封を切った。


『頼む』


目に飛び込んで来たのはその二文字。
(何を頼むんだ?)
小首をかしげながら、寿利は続きに目をやる。
以前見せたいと言っていた『彼』を、頼む。とそこには書いてあった。

(彼……?)

「おい……、トシ、なんて書いてあった?」
「え……?あぁ……」
ふと我にかえると、他の面子が自分を見つめている。
「俺らはそれぞれの機材と」
「UNICEFへの寄付?」
あいつらしいよなーと眉を潜めて笑う。
寿利は少し狼狽しながらも何とか答えた。
「俺はPCと、KAITOを頼むって……」
「KAITO……?」
「なんだ?KAITOって……」
みんながそろって首をかしげていると、一人がようやく声を上げた。
「あ、思い出した。ボーカロイドとかいうやつだ」
「ボーカロイドって……あの?歌わせるためのアンドロイド……?」
アンドロイド……dollsと呼ばれる人型が生み出されてから久しい。最初は介護や介助の目的で開発されたのだが、物珍しさからか高値にもかかわらず買い手が多かったため、生産が追いつかないほどだったという。
今では多用途に使えるdollsが開発され、全国規模のファミレスやコンビニなどでもよく見掛けるようになった。
一部を除いたこれらのdollsは、人間に近く作られてはいるものの、関節の造りや声など一目でdollsとわかるものばかり。それらの問題を解決させたのが、dollsシリーズの最新作、ボーカロイドなのである。
「でも所詮アンドロイドだろ?」
誰かが言った。
「基盤はマスタードールらしいぜ?」
マスタードール。
いつ誰が作ったとも分からない完全なる人型。
皮膚も細胞もすべてが人間と同じようにできており、違うものと言えば命の長さだけという。
「マスタードールでdollsなんて……どんだけコストかけんだよって話だな」
「相当値が張るだろうな」
「ウン百万とか……下手すりゃウン千万」
金の話には事欠かない。今も昔も同じだ。
「で?そのマスタードールは……?」
彼のことを気にかけた時、どこかで何かの電源が入る音がした。どうやらここではない、別の部屋らしい。
「……?」
「……なんだ?今の音」
訝しんでいるとリビングから廊下に続く扉が開いた。
『おはようございます、マスター?』
青い髪に、薄暗い蛍光灯の下でも輝きの変らないパライバの瞳。
そこにいた全員が理解した。

彼が、KAITOだ。







まだまだ仮タイトル。
続きかけたらいいなぁ←

大地が受け止め、鳥が歌う。花が踊る。
空から転がるのは小さなカケラ。

Rainy Eyes

やっぱり傘を持ってくればよかった、と長い髪の少女は空を伺う。
教室で
「じゃあね、櫻」
と手を振ってくれた友達はとうに帰ってしまった。
学校からバス停まではなんとか走りきれるだろうが、そこでバスを待っている時間が辛い。
どんなに一生懸命走ったところで、良いタイミングでバスが来ていなければ意味がなくなってしまう。
どうしてバス停に屋根がないのと玄関でため息をこぼしていると、
「入っていくか?バス停までだろ?」
と誰かが話しかけてきた。
まさか自分に話しかけているのでは無いだろうと放っておいたら
「こら、人の話きいてんのか?」
と、顔をのぞき込まれる。
ワックスで固めた黒髪、両耳には小さなピアス。少し垂れ気味の目尻と笑みを含んだ口元。見たことの無い顔だった。
「誰……」
訝しんで思わずつぶやいてしまった言葉に、相手はくつくつと笑う。
「お前、大川先輩の知り合いだろ?」
聞きなれた名前に、櫻の警戒心が少し緩む。
雨は相変わらず降り続く。
「俺は栂谷誠一。転入してきたばっかでも、名前くらいきいたことあんだろ?先輩からきいてねぇかなぁ」
名前をきいて、あぁと思う。栂谷誠一。中学テニス界での注目株だと、そういったことに疎い彼女でも噂に聞いたことがあった。
「栂谷……誠一……」
「おら、栂谷誠一先輩、だろうが」
かみ締めるように名前を呟く彼女に、屈託なく笑う彼の姿は、まるで太陽のようだ。
「で、入るのか、入らねえのか」
傘を軽くあげて示し、少女に問う。
彼女は少し考えた上で、微笑んだ。
「じゃあ、おじゃまします」
それが二人の出会いだった。
 

ただ単に、文次郎が大木先生に片恋してたら萌えるなーって。

いや、ただ、うちの文次郎は初恋が大木先生なんですよっていう話。


 

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